血管の老化は、動脈が弾力を失って厚く硬くなっていく【動脈硬化】です。心臓は1分間に約5リットルの血液を押し出します。そのため動脈壁には血流による衝撃が加わり、動脈を傷つけます。高血圧が最大の原因です。悪玉コレステロールや中性脂肪【超悪玉】が多くなると血管壁が傷つきます。血管壁の内膜に脂肪の塊【プラーク】でき、動脈が狭くなり血流が悪くなります。また動脈の内膜が傷つき、その傷をふさぐために血栓【血液の塊】ができやすくなります。血栓で詰まったり、剥がれて別の場所で詰まったりすると心筋梗塞、脳こうそくが発症します。
高血圧、脂質異常症、糖尿病や内臓肥満、喫煙が危険因子ですが、骨粗しょう症や睡眠時無呼吸症候群のある方でも起こりやすいといわれています。危険因子の病気は早く治療しましょう。
動脈硬化の検査は、①首の頸動脈に超音波で検査をする、②血管年齢を測定する検査があります。いずれも外来でもできる簡単な検査です。超音波検査では、詰まり具合で発病の危険性がわかります。血管年齢測定では、動脈の硬さが何歳ぐらいの動脈の硬さか血管年齢で表示されます。動脈が硬いと将来発病の危険性が増します。
では血管の老化を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。21世紀は予防の時代です。自治体で行われている健康診断は、メタボ検診です。この検診は動脈硬化を調べ、心臓病、脳卒中の発症を予防するために行われます。
動脈硬化の予防のためには、まず大切なことは【食事】と【運動】です。食生活では脂質の摂取、特に肉の脂を控え、青魚を食べる、積極的にとりたい脂質は、青魚に含まれている不飽和脂肪酸、特にEPA(イコサペント酸)とDHAです。血液をさらさらにする、中性脂肪を減らす、血圧を下げる効果あります。青魚のさんま、イワシ、サバがおすすめです。EPAのお薬もあり、健康保険でも処方できます。
運動は【有酸素運動】です。しなやかな血管を取り戻す有酸素運動は少し負荷がかかりちょっと汗ばむ程度の運動を1週間に150分程度【例えば1日30分の運動を週に5日間】行うことです。大股歩きが絶対におすすめです。特に足腰の大きな筋肉を鍛えられます。また同時に正しく効果的なウォーキングが自然と身に付きます。介護予防やロコモティブシンドロームの予防にもつながり、健康寿命を伸ばします。
さらに血管の老化【動脈硬化】の予防は、認知症、骨粗しょう症、メタボ対策などにもつながります。
(マイタウン H.28年6月1日掲載)